ビスフェノールA(BPA)は、プラスティックや缶詰のコーティングなどに含まれる化学物質で私たちの健康に悪影響を及ぼします。
BPAは至る所に存在し、プラスティックの飲料水、お弁当、缶詰、歯科材料など口に入れるものに使われています。
これらBPA製品から微量なBPAが溶け出し、それを経口摂取することで体内へ吸収されていきます。
体内に吸収されたBPAはどうなるのか。
内分泌撹乱物質として作用し 、体内でホルモンのような振る舞いをし、私たちのエストロゲン受容体に結合し内分泌ホルモンをかく乱、生殖システムに有害な被害を及ぼします。
1988年、妊娠中のメスマウスにBPAを与え、産まれた雄マウスを調べたところ、前立腺は肥大、精巣上体は縮小し、精子の生産が減少したという報告があります。¹⁾
厚生労働省は、マウス実験で性周期異常がみられたため、食品健康影響評価を依頼中ということを発表しています。
妊娠を希望する女性は、BPA暴露を減らすことが良さそうです。
こちらでは、尿中BPA濃度と妊娠に関する研究をご紹介します。
生殖補助医療を受ける239名の平均年齢35歳(32~38歳)、BMI中央値23.0kg/m2(21.0~25.8歳)の女性から尿中BPAサンプルを検出し、尿中BPA濃度とIVFの結果の関連性を調べた。
1回目の検尿は調節卵巣刺激中3-9日の間に採取し、2回目の検尿は採卵日に行われた。
食生活の評価は質問票を用いた。
豆腐、テンペ、大豆ソーセージ、大豆バーガー、大豆パック、味噌汁、豆乳、大豆ヨーグルト、豆腐クリーム、大豆、大豆ナッツ、大豆飲料、大豆プロテイン、大豆バーの15品目の接種頻度、摂取量の回答を得た。
176名(74%)が大豆食品を摂取しており、大豆食品摂取者の平均イソフラボン摂取量は3.4 mg/日であった。
大豆食品を摂取していない女性は,尿中BPA濃度が高くなるにつれて,着床率,臨床妊娠率,出生率が低下した。
一方,大豆食品を摂取している女性では,尿中BPA濃度はこれらの結果とは無関係であった。
大豆食品を摂取していない女性では,尿中BPA濃度の上昇で着床率,臨床的妊娠率,出生率の低下に関係している可能性が示唆されたが,大豆食品を摂取している女性では,尿中BPA濃度による着床率,臨床的妊娠率,出生率の結果に影響は認められなかった。
つまり、大豆食品の摂取は,BPAによる生殖システムへの悪影響を防ぐ可能性があることがわかった。
これら調査結果は、大豆とBPAの潜在的な相互作用を示唆するヒトでの初めての報告であるため、他の集団でさらに評価する必要があると述べています。Soy Intake Modifies the Relation Between Urinary Bisphenol A Concentrations and Pregnancy Outcomes Among Women Undergoing Assisted Reproduction. The Journal of clinical endocrinology and metabolism. 2016 Mar;101(3);1082-90.
↓私が妊活・温活で使用してるグッズです↓
引用文献
[1]A physiologically based approach to the study of bisphenol A and other estrogenic chemicals on the size of reproductive organs, daily sperm production, and behavior. Toxicol Ind Health 14:239-60, 1998