成長ホルモンにより体外受精の成績を改善させた

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排卵誘発剤の治療に対し反応が不十分な患者に成長ホルモン剤を投与したところ、体外受精の成績が改善したという論文を紹介いたします。

2019年2月~12月の間、四川省の生殖医療センターから105名の卵巣刺激低反応患者(POR)と58名の卵巣刺激低反応ではない(非POR)患者33‐43歳が登録された。
卵巣刺激低反応患者は、成長ホルモン(GH)処置を行う群(POR-GH群)と成長ホルモン(GH)処置を行わない群(POR-C群)無作為に割り付けた。

全ての患者がGnRHアンタゴニストによる卵巣刺激を受けた。
月経2日目からrFSH注射し、卵胞の成長と血清ホルモン値に応じてrFSH投与量を調整した。

POR-GH群では、組み換え成長ホルモン4IUをトリガー日まで連日皮下注射した。

主席卵胞が12mmに達した時、および/または血清E2値が300pg/mlに達した時にガニレストを投与した。

主席卵胞が18mmに達すると組み換え絨毛性ゴナドトロピン(hCG)でトリガーした。

プロゲステロンで黄体サポートをした。

血清hCGは初期胚移植後12日目に測定し、hCG>5IU/mlの場合に陽性とした。


結果、POR-GH群では、体外受精の成績が向上した。

POR-GH群では、卵子が採取できなかった、あるいは受精に失敗したため3サイクルが除外された。

POR-C群は、卵胞の成長が見られない、卵子の採取ができない、受精に失敗したなどの理由で8サイクルが除外された。

POR-GH群およびPOR-C群では、非POR群と比較して、rFSH投与期間、トリガー日のE2濃度、回収卵子数、MII卵子数、受精卵数、良好胚数が有意に低下し、rFSH投与量は有意に増加した。

トリガー日の子宮内膜厚の厚さ(9.65±1.84対8.61±1.23mm)、良好胚数(1.26±0.65対0.72±0.56)、着床率(28.21%対9.72%)、臨床的妊娠率(38.77%対13.33%)がPOR-GH群ではPOR-C群に比べて有意に増加した。


また、POR-GH群とPOR-C群では、卵胞液(FF)における酸化ストレスマーカーの値が非POR群に比べて有意に高かったが、POR-GH群の卵胞液(FF)における酸化ストレスマーカーの値はPOR-C群に比べて低下していた。

こちらの研究では、体外受精を受けた卵巣刺激低反応患者の卵胞液(FF)と顆粒膜細胞(GC)に酸化ストレス状態が存在することを発見した。

成長ホルモン投与によって、細胞内の酸化ストレスレベルを低下させたため、成長ホルモンは卵巣刺激低反応患者の卵胞液(FF)と顆粒膜細胞(GC)の酸化ストレスを緩和する可能性があると述べています。Growth hormone alleviates oxidative stress and improves the IVF outcomes of poor ovarian responders: a randomized controlled trial. Reproductive biology and endocrinology : RB&E. 2020 Sep 05;18(1);91.

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