卵巣刺激して採卵数が多くても胚の異常胚は増加しない。
卵胞刺激自体が卵子に悪影響を及ぼしているのではないかと懸念があります。
卵巣刺激を行い多数の卵子を集めることは、正倍数体が得られる可能性が高くなります。
しかし高い卵胞刺激自体が減数分裂中の染色体に悪影響を及ぼし、異数性率を増加させている可能性がある。という研究が報告されています。
そのため、卵巣刺激期間、総ゴナドトロピン投与量、採卵数、トリガー日のピーク E2 レベル、卵胞サイズが、移植された正倍数胚の生児出生率 (LBR) に影響するかどうかを確認するために研究が実施されました。
患者は外因性ゴナドトロピンを毎日投与し、下垂体抑制にはGnRHアンタゴニストまたGnRH アゴニスト を使用。トリガーはヒト絨毛性ゴナドトロピンまたはGnRH アゴニストを使用。
12.298個の胚がPGT-Aを受け930回の単一胚移植が行われた。
生検された胚の数、正倍数率、および正倍数体の胚の数は、最も若い年齢グループで最も高く、女性の年齢とともに徐々に減少した。(図A)
正倍数体が得られなかった周期は、35 歳未満の女性 (5.2%) で最も低く、42 歳以上の女性 (74%) で最も高かった。(図B)
正倍数性の胚の移植後の正倍数率と 生児出生率(LBR) は、女性の年齢に関係なく、ゴナドトロピンの投与量、卵巣刺激期間、エストラジオールレベル、排卵誘発時の卵胞サイズ、または採取された卵母細胞の数に大きく影響されませんでした。
つまり、卵巣刺激によって胚の異数性数は変わらないから、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や卵巣捻転などの副作用に注意しながら卵巣刺激を行うことが望ましいと述べています。
No effect of ovarian stimulation and oocyte yield on euploidy and live birth rates: an analysis of 12 298 trophectoderm biopsies. Human reproduction (Oxford, England). 2020 05 01;35(5);1082-1089