子宮頸管長の変化によって誘発分娩での子宮開大達成を予測をする

周産期

子宮頸管長短縮は流産、早産のリスク因子


子宮頸部は子宮と膣がつながる部分にあり、3つの靭帯によって子宮を支え、排卵後はプロゲステロンの作用によって膣粘液で子宮への入り口を閉じ、細菌の侵入を防ぐ役割を持っています。

子宮頸管長は妊娠中期の妊婦検診の際に超音波エコーで検査します。妊娠週数相当の短縮の有無を観察し、早産リスクを予測します。


日本産婦人科学会は、子宮頸管長短縮は流産・早産の母体側のリスク因子と述べています。

①子宮頸管長短縮・子宮頸管無力症

前回の妊娠管理中に頸管長計測を行っていなかった場合は判断が難しい。

妊娠24 週で頸管長が30㎜以下,26㎜以下に短縮したとき,35 週未満の早産のオッズ比がそれぞれ3 . 79,6 . 19 に上昇する(1996 年Iams ら)。

15 週から24 週の頸管長のROC 曲線を用いた検討では,25 ㎜が30 週以前の早産予知のカットオフ値として最適である(Guzman ら)。

以上より,頸管長25㎜を下回った妊婦を早産のhigh-risk 群として管理していく必要がある。

②円錐切除後

円錐切除で頸管腺が切除されることにより,抗菌作用を有する頸管粘液の分泌が減少し,絨毛膜羊膜炎を誘発し,結果として前期破水を引き起こすためと考えられている。

15㎜以上または2 . 66㎤以上切除した場合,早産率が2 倍になるという報告がある。

参考:日本産婦人科学会

子宮頸管長の変化による誘発分娩時の頸管拡張度の関連性についての論文


分娩誘発を受けた正期産妊婦の前向き観察研究の二次分析を実施した論文です。

陣痛第1期中に胎児の苦痛や母体の希望により帝王切開となった症例は除外された。

誘発時の子宮頸管長と、妊娠最後4週間の子宮頸管長短縮を2群間で比較した。

165人の女性が登録され、そのうち145人(87.9%)の女性が陣痛の第2期に達し、20人(12.1%)の女性が子宮頸管開大に失敗した。

子宮頸管開大しなかった女性は、子宮頸管開大した女性と比較して、誘発時の子宮頸管長が有意に長く、過去4週間の子宮頸管長の変化が少なかった。

子宮頸管長29mm以上と子宮頸管長6mm未満の短縮が子宮頸管拡張不全と有意に関連していた。

結果、陣痛誘発時の子宮頸管拡張が失敗する確率は、誘発時に子宮頸管長が29mm以上であった場合や、過去4週間で子宮頸管長の短縮が6mm以下であった場合に、有意に増加した。
The degree of cervical length shortening as a predictor of successful or failed labor induction.
Taiwanese journal of obstetrics & gynecology. 2021 May;60(3);503-508.