L-カルニチン、男性不妊改善のためにできること。

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L-カルニチン、男性不妊改善のためにできること

精子の元気がない。乏精子症・精子無力症・奇形精子症、OAT症候群の原因とは。


男性不妊の一つに造精機能障害があります。

これは精子を作る機能の障害で、何らかの問題で精子の元気がない状態、数が少ない状態、正常な形の精子が少ない状態となることを指します。

原因がわかるもので精索静脈瘤というものもありますが、ほとんどは原因が不明で特発性造精障害です。

そして精子濃度・ 精子運動率・正常形態精子率の3つすべてが低いと特発性OAT症候群(oligoasthenoteratozoospermia syndrome)と呼びます。

乏精子症(oligozoospermia)・精子無力症(asthenozoospermia)・奇形精子症(teratozoospermia)の頭文字をとった3つの症状の総称となります。

ミトコンドリア内でのL-カルニチン。


ヒトは呼吸によって身体の中に入った酸素を利用してエネルギー代謝をします。

これはミトコンドリア内で行われます。

この代謝の過程で活性酸素(ROS)が発生します。

体内で過剰に発生した活性酸素(ROS)が多く、身体がそれを除去できないと、酸化ストレス状態になり細胞(精子)へダメージを与えます。

L-カルニチンは細胞のミトコンドリア内での代謝に使われる物質です。

L-カルニチンと精子に関する最新の論文


こちらはL-カルニチンを含む健康補助食品の補給で精液の質を改善できるのか調査した論文になります。

特発性OAT症候群と診断された男性59名が研究に参加した。

治療開始前に3-5日間の禁欲後に精液サンプルが収集された。

全ての患者は3か月間継続しサプリメント摂取を行い、再度精液サンプルを収集した。

サプリメントの内容はL-カルニチン1500mg、ビタミンC60mg、コエンザイムQ1020mg、ビタミンE10㎎、亜鉛10㎎、ビタミンB9200μg、セレン50μg、ビタミンB121μg。

平均年齢は34.5±4.16歳。BMI痩せすぎ1.7%、普通11.9%、肥満86.4%。

結果、精子濃度(2.5 × 107 [1.2 × 107 – 5 × 107] 対 3.6 × 107 [1.5 × 107 – 7 × 107]、精子の形態(1% [0% – 2%] 対 1% [0% – 3%]は改善したが、運動率(28% [10% – 50%] vs. 35% [12% – 50%]の著しい改善は示されなかった。
Effect of antioxidant supplementation containing L-carnitine on semen parameters: a prospective interventional study. JBRA assisted reproduction. 2021 02 02;25(1);76-80.



こちらの発表を読んで、L-カルニチンのことよりも、研究対象者の86.4%が肥満だったことに驚いた。

肥満による活性酸素種(ROS)の増加は酸化ストレス状態にすることは耳にしていましたが、OAT症候群と肥満は関係するのでしょうか。

BMIの適正化は妊活男子も大事なんですね。

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