精子精液の質と睡眠(メラトニン)の関係性

精子妊活

精液精子の質と睡眠(メラトニン)の関係性


メラトニンは脳松果体から分泌され、視床下部にある受容体を介して生体リズムの調整をします。

メラトニンには、活性酸素種(ROS)などのフリーラジカルを除去する強力な抗酸化作用があり、男性の精子を酸化ストレスから守り精液の質の改善をするという研究報告があります。

こちらの研究では、50人のOAT症候群(iOAT)患者と50人の健常男性対照者の精液血漿および血清メラトニンレベルを評価し、夜間の光の暴露が精液パラメータに及ぼす影響を評価した。

50名のiOAT不妊症男性を対象とし、男性34名(夜間光にさらされる夜間勤務)と男性16名(夜間光にさらされない、昼間勤務)に分類した。

対照群として、50名の正常精子をもち少なくとも1人の子供をもうけている健常男性が参加した。

この対象群はiOAT患者と同じ仕事をしていたため、血清および精液中のメラトニン濃度に影響を与える因子を避けるため、同じ種類の光を同じ強さと波長で同じ時間照射した。

健常男性対照者は、男性19名(夜間光曝露群)と男性31名(非曝露群)に分類された。

3-5日間の禁欲後に精液は回収され、世界保健機関(WHO)の2010年版ガイドラインに基づいて精液分析された。

血清および精液中のメラトニン、血清TSH、FT3、FT4、遊離テストステロン、プロラクチン、FSH、LHの測定は、ELISAを用いて行いた。

結果、iOAT患者では、平均血清メラトニン濃度は11.01±10.99ng/l、精液血漿濃度4.84±4.06ng/l。

対照群では、平均血清メラトニン濃度は19.51±16.82ng/l、平均精液血漿濃度は6.96±6.35ng/lであり、iOAT群の血清メラトニン濃度および精液血漿濃度は、対照群に比べて有意に低かった。

夜間に光を浴びたiOAT患者の血清メラトニン濃度は4.54±1.48ng/l、精液中の血漿濃度3.36±2.94ng/lであり、iOAT光非暴露群の血清メラトニン濃度24.77±9.65ng/lおよび精液中の血漿濃度7.34±5.29ng/lに比べて有意に低かった。

対象群の光暴露群は、メラトニンの血清レベルが5.83±1.76ng/l、精液血漿レベルが3.85±1.45ng/lであり、光非暴露群の血清メラトニン濃度は27.89±16.40ng/l、精液中のメラトニン濃度.86±7.40ng/lであった。

iOAT 患者光曝露例では、精子濃度は3.30±1.87×106個/ml、精子運動率は18.29±13.09%、異常精子形態の割合は、59.26±17.97%。

iOAT 患者光非曝露例では、精子濃度は11.97±1.25×106個/ml、精子運動率は27.81±16.43%、異常精子形態の割合は46.62±32.45%であった。

精子濃度、精子の運動性、異常精子形態の割合において、iOAT患者の光曝露群と非曝露群の間に有意な差が認められた。

結果、夜間に光を浴びているiOAT患者は、夜間に光を浴びていないiOAT患者と比べて、血清および精液中のメラトニン濃度が低かった。

さらに、夜間に光を浴びた健常対照群でも、健常光非暴露群と比較して同様の有意差が確認された。

このように、夜間の光照射がメラトニンの血清および精液血漿レベルに影響を与え、その結果、精液パラメータに影響を与えることからもわかるように、夜間の暗闇と睡眠はiOAT患者の精液パラメータを改善する可能性があると考えられます。と述べています。
Men with idiopathic oligoasthenoteratozoospermia exhibit lower serum and seminal plasma melatonin levels: Comparative effect of night-light exposure with fertile males. Experimental and therapeutic medicine. 2020 Jul;20(1);235-242.


こちらの研究では、熱帯環境下の非繁殖期において、オス牛にメラトニンを投与することで精子の機能が改善されるかどうかを検証することを目的としました。

10頭のオス牛を対照群とメラトニン投与群に無作為に割りあて、非繁殖期の精液特性、精液成分、血漿ホルモン濃度、抗酸化酵素活性に対するメラトニンの効果を調べた。

オス牛には、メラトニン(18mg/50kg体重)を2ヶ月間投与した。

週2回精液を、週1回血液を採取して、血漿中のメラトニンとLHの濃度および抗酸化酵素の活性を測定した。

非繁殖期にメラトニンを与えたところ、対照群と比較して、前進運動精子の割合、生存率、全運動精子の割合、急速運動精子の割合、直線速度、などが増加し、異常精子の割合が減少するなど、精液の特性が改善された。

さらに、精液中の総蛋白質、アルブミン、コレステロールの濃度が増加した。

赤血球中のスーパーオキシドディスムターゼ活性(SOD)の増加を示した。

結果、メラトニンは精漿成分を改善し、精子動態と運動パラメーターを改善する優れた能力を示しました。
Melatonin-improved buffalo semen quality during nonbreeding season under tropical condition. Domestic animal endocrinology. 2019 07;68;119-125.

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