ビタミンDは妊娠、出産に大事な栄養素です。
ビタミンDは骨を丈夫にする以外にも役割があり、胎児の胎盤組織の形成や卵子の形成に深く関わりがあり、妊娠率、出産率、流産率を上昇させることが分かってきました。
以下に詳細があります。
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で食事から十分な量を摂取するのは難しく、日光を浴びることで体内で合成されます。
しかし日光浴は無理!という方の摂取方法は、きのこや魚などの食品の他に、サプリメント補充やビタミンD添加食品のダノンヨーグルトやヤクルトのジョア、リカルデントビタミンDプラスなどがあります。
日光浴か食品などサプリメントで身体の中に入ったら、次は肝臓で25(OH)Dに変わって3週間くらい血中を漂うことになります。
そのため血中25(OH)D濃度を測定すれば体内のビタミン充足度が分かります。
20~30ng/mLは不足状態でARTなど妊活領域では30ng/mlは必要と言われ、濃度が低いと不妊の原因とも。
私が最初に不妊専門クリニックへ受診した時の血清ビタミンD値は25ng/mlでした。
ビタミンDは脂質と一緒に摂取することで吸収率が上がるので、食後の服用がオススメです。
以下はビタミンDと妊娠に関する論文をサッパリ和訳したものです。
稽留流産における絨毛膜絨毛のビタミンDとビタミンD受容体
Expression of vitamin D and vitamin D receptor in chorionic villous in missed abortion.
Gynecological endocrinology : the official journal of the International Society of Gynecological Endocrinology. 2019;35(sup1);49-55.
ロシアに住む6-12週の女性32名の稽留流産と32名の誘発した中絶の64名の絨毛膜絨毛を比較した。
12週以上の妊娠、糖尿病、多胎、胎児の遺伝的疾患は除外された。
顕微鏡で観察。稽留流産群では対照群と比較すると、絨毛膜絨毛のビタミンDとビタミンD受容体の発現した面積が低かった。
栄養膜はビタミンDを作り、脱落膜に作用して成長を促す。https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09513590.2019.1653563
習慣性流産の女性は胎児母体間でのビタミンDとビタミンD受容体が減少している。
Women with recurrent spontaneous abortion have decreased 25(OH) vitamin D and VDR at the fetal-maternal interface.
Brazilian journal of medical and biological research 2017 Sep 12;50(11);e6527.
こちらは中国からの報告。
2回以上連続した自然流産を経験した30人の患者で、自己免疫疾患、解剖学的疾患、感染症、遺伝性疾は内分泌疾患は除外した。
対照群と比較して習慣性流産群では脱落膜組織の25(OH)D濃度が低く、脱落膜組織でビタミンD受容体の発生が低かった。https://www.scielo.br/scielo.php?pid=S0100-879X2017001100606&script=sci_arttext
体外受精における正常な受精率のビタミンDの状態
Effect of vitamin D status on normal fertilization rate following in vitro fertilization. Reproductive biology and endocrinology : RB&E. 2019 Jul 18;17(1);59.
848名の体外受精を受けた方が対象。
25(OH)D濃度が低下しているとIVFの受精率が低下するが、臨床的妊娠や出生率とは関連していなかった。
ビタミンDと妊娠に関する沢山の研究論文を引用していて読んでいてなるほどー。と関心する内容だった。2019年に発表されたものです。
https://rbej.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12958-019-0500-0
体外受精におけるイノシトール、ビタミンD、メラトニンの効果
The effect of myo-inositol, vitamin D3 and melatonin on the oocyte and pregnancy in in vitro fertilization: a randomized prospective controlled trial. European review for medical and pharmacological sciences. 2020 08;24(16);8529-8536.
研究グループは6ヶ月間、毎朝葉酸200μg、ミオイノシトール2g、αラクトアルブミン50mgを服用し、採卵3ヶ月前からは、夕方葉酸200μg、ミオイノシトール600mg、メラトニン1mg服用、ICSI後3ヶ月間はビタミンD50μgを追加服用した。
対照群は葉酸のみ服用した。
臨床的妊娠は42%対24%で研究群で有意に高かった。
ビタミンDがAMHと関連する記事はこちら。